2025年5月4−5日の2日間で、217㎞のE部門に挑戦しました。
このコースは173㎞のL部門に時津大村湾沿いに鳴見ダム畝刈と野母崎半島手前の伊王島を一周するコースが含まれています。このE部門のコースは秋の320㎞(H部門)のエントリー資格となっており、ハイパー金龍を目指すには避けては通れないコースとなっています。
途中、倒れたり、吐いたり、眠気で止まったりと、かなり辛かったですが、後半は持ち直し無事完走しました。備忘録として記録しますので、お付き合いいただければ幸いです。
スタート前
今回はE部(217㎞)の参加です。私は5時スタートです。4時20分に自宅を出て、妻に会場まで送ってもらいました。10分前に会場に到着。こんなにギリギリに着いたのは初めてです。選手達がもうスタート地点に集結して今にも走り出しそうです。急いで荷物をスタッフへ預けスタート地点に急ぎます。スタート直前に主催者の安部さんより衝撃の事実を聞かされることになります。「5時スタートのE部門は恐竜体育館(中間地点)の関門を通過する確率は10%ぐらいだ」と。これは思った以上に過酷なレースになりそうです。うぅ(いまさら緊張。。。)いよいよスタートです!!

レース記録
序盤(0~7㎞):いつも通り最後尾からのスタート
スタート時はまだ薄暗く、足元に気をつけながら集団の後方からスタート。出島を1周し、長崎県庁に差しかかる頃には明るくなり始めています。ここから見える稲佐山が最初のチェックポイント。私は1時間に7~7.5㎞のペースが目標ですが、既に周りの皆さんのペースは早い。ここで最後尾になるのはいつものことですが、スタート前の通過確率10%という言葉がが頭をよぎります。
そして周りの選手から「私のペースでは無理です」「私はLダッシュ狙いですから」など、このペースではE部門の完走は難しいのではと思わせる会話が聞こえてくる。。。若干焦ります💧が、まだまだ序盤も序盤。少なくとも稲佐山頂上まではこのペースを崩さず登ります。
山頂につくと、ちょうど朝日が出ていました。風が強く吹いており、やや気温は低め。チェックポイントでパンチをしようとした選手のシートが強風で展望台から飛ばされ、あっという間に遠くへ飛んでいきました。序盤だし、アクシデントなので理由を話せば失格にはならないでしょうが、この風には自分も気をつけなければと用心してパンチを空けます。

稲佐山からみる夜明け(7㎞地点)
前半戦(7~109㎞):景色を楽しみながら快調に進みます
無事、最初のチェックポイント(7㎞)を1時間ほどで通過。予定通りだけど、今後のペースを登りながら考えていました。そもそも109㎞までの恐竜体育館までの難易度が高いことは、これまでも聞いていました。今回も体力温存計画で、ゆっくりギリギリに通過すればと思っていたけど、中間地点を通過できなければ温存も何もあったもんじゃない!ここからしばらくは下りと平坦。少しペースを上げる決意をして1時間8㎞ペースを目標に切り換えました。
9時:時津クリーンセンター通過(3.13㎞)
10:50分;あぐりの丘通過(45㎞)芍薬肝臓等と胃薬を予防投与。
13:20分:女神大橋エイド通過(65㎞)
15:20分:伊王島入り、16時30分伊王島を後にします。
*伊王島の灯台でタイムを自己記載するノートがあり、自分がE部門12位ぐらいだと知ります。

伊王島大橋(行き):これから伊王島へ行ってきます。

チェックポイント:伊王島の灯台:景色はとても綺麗です。

伊王島大橋(帰り):下から見ると違った迫力!
そして、元気なのはこのあたりまで。ここからは我慢の時間帯が続きます。伊王島を出る頃にはさすがに疲れを感じるようになっていました。この時点で約90㎞です。疲労がないわけがない。中間地点の恐竜体育館まで20㎞弱。暗くなる前には着きたいところです。
伊王島のから復路、これから伊王島に向かう選手とすれ違います。恐らくE部門の選手はもう間に合わないでしょう。昨年W部門のボランティアをしたときに見かけた選手もいます。実力のある選手でも関門にかかる。改めてE部門の時間設定が過酷でスピードも要求されるということを感じました。
ここから伊王島から深堀に戻って、てっきり国道の江川交差点まで戻るものだと思っていたのですが、どうやら違う道を進んでいます。コースマップをよく見ていませんでしたが、暗くてクネクネの雑木林を進みます。前に選手がいて助かりました。たぶんこのルートはE部門のみのコースなのでしょう。初めて通ります。こんな色んな道を発掘する大会関係者に本当に頭が下がります。100㎞を超えたところでL部門と合流します。ここからは知っている道です。あと中間地点まであと9㎞。
夕日が海に沈もうとしています。この辺りは海岸沿いのルートですが、夕焼けの時間帯にここを通れるのはラッキーです。綺麗な景色が疲れを癒やします(少しだけ)。そして、野母崎に近づくにつれ、風が強くなってきました。何とか日が沈む前に中間地点の恐竜体育館に到着できました。

体が冷え切った体育館のシャワー
体育館ではシャワーがあると聞いていたので、着替えの準備をしていました。しかし、他の選手は全くシャワーを利用する気配がありません。私はシャワーを浴びる気満々だったので、すぐに準備してシャワーを利用しました。
やめておけばよかった。。。
他の選手が利用しない訳がわかりました。シャワー圧が強すぎて、まともに浴びれませんでした。しかも圧が強いからなのか、水が出だすとどこからか、風が発生し、体から熱を奪っていきます。シャワー圧を調整できないので、まともに浴びることもできず、ブルブル震えながらシャワー室を後にしました。だから他の選手はボディーシートで体を拭くだけで着替えていたのか。新しい発見はいつもあります。
中盤(109~159㎞):気を失い、吐き、ふらふらの我慢の時間
着替え、シャワーを含め1時間ほど体育館です過ごし、リスタートです。すっかり、暗くなっていました。そして、かなり寒い!11月のW部門の時は3日間、夜も半袖で走ったので、今回も半袖のつもりでしたが、かなり寒い。着るつもりはなかったけど薄手のジャージを1枚着替えに入れておいてよかったです。風が強くて足も寒いですが、仕方ない。走れば何とか成るはず!と体育館を後にします。ここからはヘッドライトと背中にチカチカライトも装備します。
ジャージ1枚着ててもかなり寒い、この辺りは海沿いでもあり風が強いのです。最初のCP権現山を通過し、樺島に向かいます。寒いし、暗いし、少し心細く思っていたとき、すぐ前にご夫婦の2人組がいます。しばらくその夫婦に張り付いて行きました。しばらくして、ご主人の方がマンホールに躓き転倒。ドキッとしましたが、すぐに立ち上がり走り出します。出血はありますが、大きな怪我ではなさそうです。さりげなく奥さんがサポートしています。2人だと心強いだろうな(うちの妻は出てくれないだろうな)。そして、この夫婦と一緒に樺島灯台までご一緒しました。
樺島エイドでの気絶
*ここから先は余裕がなく写真がほぼありません。
このあと樺島公民館エイドでカレーを食べている時、アクシデントが発生しました。
食べ始めて数口で気持ちが悪くなり、気が遠くなります。でもこれからの後半のこと考えて食べなくてはと食をすすめます。最後の一口、残すかどうか考えているときに、、気づいたら床に転がっていました。
ボラの方に「大丈夫ですか!」と声をかけられてハッ!と気がつきました。意識を失っていたようです。
恐らく一瞬だったのでしょう、ボラの方の「大丈夫ですね」という言葉と、それほど焦った表情ではなかったので、そう悟りました。恐らく極度の脱水による血圧低下に加え、食事を取ったことで内臓への血流が増加し脳血流が低下したのだと思います(仮説)。
周りを見渡すともう一人倒れている選手がいます。私より若い選手です。結構長い間倒れていました。
人のことより自分のこと。大したことはないと言っても、走っている最中に気を失うのは初めての事で、今130㎞地点。ここからまだ85㎞もある。果たして走れるのかと不安になります。
このとき深夜の0時前、時間の余裕はあまりないけど、20分ほどここで休む事にしました。
少し休み、トイレを済ませて、動いてみます。身体は疲れてますが、頭はクリア。何とか進めそうと判断し、再出発です。
とありあえず、樺島公民館を出発しましたが、念のためしばらくは早歩きで進もうと決めました。樺島大橋に着く頃にはさらに何人もの選手に抜かれます。この辺りはLやL’の選手が多いように感じます。
ここからは茂木エリアです。深夜のこの時間はまさに我慢の時間帯でした。いつまで続くのかわからない登りや下りの繰り返し。周りは木々に囲まれ、いまにも動物が出てきそうです。そして、眠気に加えついに胃がやられてきました。もう歩くだけでもかなりきつい状態です。眠くてふらふらしているのがわかります。手を膝に付き、中腰で5秒目をつむり、そしてまた歩くを繰り返します。この辺りで何度か胃の中身を嘔吐しました。
周りの選手も同じような疲労感だと思います。声をかけ合うこともありませんが、周りに選手がいることが唯一の救いです。このような調子で川原エイドまでが一番きつかったと記憶しています。
後半戦(159~217㎞):夜明け、回復、ゴールへ。
そして、次の茂木ぶらぶらハウスに到着。この頃には夜が明けかかっていて、少し明るくなってきていました。日差しを浴びると身体起きるのか、頭が冴えるのか分かりませんが、少しずつ元気になってきました。
ここから網場方面へは結構なアップダウンがあります。体の方は少しずつ走れるようになっているのを実感。平地や下りは走り、登りは歩きながら進みます。明るくなったので、橘湾の素晴らしい景色が目に飛び込んできます。景色を楽しむ余裕が出てきたことに気づきます。そして日見三角公園(173.6㎞地点)に来たときにはエイドの食事も喉を通るほど回復してています。よし、行ける!まわりの選手と話す気力も出てきました。L部門(173㎞)やM部門(80㎞)の選手も沢山います。
この時点では、きついけど不思議と足を止めずに走れます。とは言ってもかなりペースは遅くなってきています。矢上大橋を渡りきり、結い浜海水浴場を通り過ぎ、飯盛峠を目指します。この時点で残り40㎞を切っていて、ゴールが現実的になってきました。
飯盛とんの山エイドチェックポイントに到着。S部門(55㎞)の選手も出会うようになってきました。さすがにスピードが違いますが、声かけに元気をもらいます。夜中に体調を崩してからは完走できればいいと思っていましたが、走っているうちに欲がでてきます。「少しでも早くゴールしたい」とか「あの人より前でゴールしたい」とかいう気持ちです。
実は今回2人の選手が私の走りを支えてくれたと思っています。1人は恐竜体育館で少し話をした若い方(Yさん:aoung)です。かなりスピードがあり、度々抜かれるのですが、途中で結構休憩しているのでその間に何度も順位が入れかわります。もう一人は年配の方で(Aさんとしましょう:adult)本大会に多く参加しているのでしょう。知り合いが多いようで、周りの選手と談笑している姿をよく見ます。この方はあまり歩かず一定のペースでずっと進み続けます。
じゃがいも畑を過ぎてからゴールまでの間、この2名と何度も順位が入れ替わります。お互にこの2人とは負けないように意識し合っているのが分かりました。この2人には適わないと思っていましたが、結果的に前でゴールすることができました。私の後半のペースが上がったのは2人の存在が大きな要因になったことは言うまでもありません。前回のW部門を完走したときもそうですが、自分が限界と感じているところから、さらに力を出せるのはライバル(と思っている人)の存在があるからだと感じます。
そして、いよいよ小浜に帰ってきました。力はほとんど残っていないですが、次男(7歳:2年生)がゴール手前200mぐらいで待っています。追いつこうとすると、ゴールに向かってダッシュするではありませんか!すかさずスピードを上げますが、成長した次男には追いつきませんでした。最後の最後で敗北感を味わいながらゴール。無事217㎞の道のりを制覇しました。
結果
5月5日16時前にゴール。
34時間55分ぐらいで完走しました。
正式なタイムはまだ出ていないので、詳細は後日追記します。
感想
今回は樺島公民館で気を失い、そこから朝方まで不調が続きました。前半の恐竜体育館(109㎞)までの完走率が低いと聞いてペースを上げたことが原因だと思っています。しかし、時間に余裕がないコースなので、ある程度のペースアップは必要なことだと思っています。
秋のH部門(320㎞)までに何度かシミュレーションをして、適正ペースで臨みたいと思います。今回は完走できてホッとしています。

ゴール直後の写真。かなりやつれています。サングラスをとると20歳ぐらい年取っているようでした😨
コメント